「はいはいはーい!練習しましょ!」
今日もまた応援練習。ハイテンションな団長さんのおかげで盛り上がっている。
私はいつもの無表情でボケーとしていると、団長さんと目が合った。すると、団長さんがこっちに微笑みかけてきた。私はどうにか作り笑いをして返した。
何だったんだろう。この一瞬、すごくドキドキした。どうしてだろうか。
とにかく練習に集中することにしたが、また新しい曲やダンスを覚えるのは大変なことだった。
「ピッピッピーピッピッピーピッピッピー!!」
また団長さんがふざけて三三七拍子をやっている。そんなに笛が好きなのかな。
みんなが笑っている時もずっと私は無表情だ。素直に笑うことが出来ない。
――消えろ。お前みたいなブスは消えろ。
いつ誰かに言われたか忘れたが、去年にいろいろあったような気がする。
かなりショックを受けたのか知らないけど、私は素直に笑えなくなっていた。作り笑いで誤魔化すことも多くなった。
「ピー!そこの君、ボーとしない!」
団長さんが目の前に来て驚いた。私はずっと考え事をして、周りを見ていなかったのだろう。
「あっ、すいません。ちゃんとやります」
謝る私に団長さんは優しく微笑んで、またどこかへ戻って行ってしまう。
何でドキドキするんだろう。
私は考え事はやめて、応援練習に集中した。