九頭竜が縁結びの神としても知られていると頬を赤らめながら言った美月があまりにも可愛らしく、良夜は思わず背を向けて片手で口を覆った。
「良夜…様?」
「いや、なんでもない。ちょっと今変な顔をしていた気がするから」
「雨竜は頭がひとつしかないため迫害されていたと思われますが…それにしても私が見つけた時は瀕死の状態だったのです。鱗も何枚か剥がれていて…」
「うちにも竜系の百鬼は居るが、九頭竜は聞いたことないな。帰ったら親父に訊いてみる」
「できれば主さまに守って頂きたいのです。私はなんの力もありませんから、この身で以て庇い建てすることしかできず…」
「その身で以て?それは俺が困る。お前の身は俺の物だからな」
…
……何やら凄まじくおかしなことを言われた気がしてきょとんとしていると、良夜はまた美月に真向かいになって座ると、当然のように言ってのけた。
「俺は近々当主になるから、相談役であるお前の身を好き勝手できる。前にも言ったが、相談役は百鬼ではないが、幽玄町に住む妖である限り、当主はその行動を自由にできる。知らなかったか?」
ぐうの音も出ないほど仰天した美月は、座ったまま後退りしながら鋭い牙をちらつかせた。
「わ、私の身は…相談役には手を出してはならぬと聞いていますが!」
「その法を俺の代から変えればいいだけの話。そんなに…俺が嫌か?」
畳に手をつきながらじわじわ近付いて来てついに壁際まで追い詰められた美月は、逃れようとして良夜にどんと壁に手をつかれて、鼻先が触れ合うまで顔が近付いた。
――緩やかな切れ長の黒瞳の中に、自身の姿が映っているのが見えた。
「良夜…様…」
僅かに開いている唇がとても妖艶で、これは逃れられない、と覚悟をした。
「良夜…様?」
「いや、なんでもない。ちょっと今変な顔をしていた気がするから」
「雨竜は頭がひとつしかないため迫害されていたと思われますが…それにしても私が見つけた時は瀕死の状態だったのです。鱗も何枚か剥がれていて…」
「うちにも竜系の百鬼は居るが、九頭竜は聞いたことないな。帰ったら親父に訊いてみる」
「できれば主さまに守って頂きたいのです。私はなんの力もありませんから、この身で以て庇い建てすることしかできず…」
「その身で以て?それは俺が困る。お前の身は俺の物だからな」
…
……何やら凄まじくおかしなことを言われた気がしてきょとんとしていると、良夜はまた美月に真向かいになって座ると、当然のように言ってのけた。
「俺は近々当主になるから、相談役であるお前の身を好き勝手できる。前にも言ったが、相談役は百鬼ではないが、幽玄町に住む妖である限り、当主はその行動を自由にできる。知らなかったか?」
ぐうの音も出ないほど仰天した美月は、座ったまま後退りしながら鋭い牙をちらつかせた。
「わ、私の身は…相談役には手を出してはならぬと聞いていますが!」
「その法を俺の代から変えればいいだけの話。そんなに…俺が嫌か?」
畳に手をつきながらじわじわ近付いて来てついに壁際まで追い詰められた美月は、逃れようとして良夜にどんと壁に手をつかれて、鼻先が触れ合うまで顔が近付いた。
――緩やかな切れ長の黒瞳の中に、自身の姿が映っているのが見えた。
「良夜…様…」
僅かに開いている唇がとても妖艶で、これは逃れられない、と覚悟をした。

