乱青龍としては出来損ないの我が子を殺すだけで済むとたかを括っていたが…
百鬼夜行の次期当主がその出来損ないの息子を百鬼として迎えたいと言うのだから、それだけは阻止しなければならない。
あの出来損ないが九頭竜だと言って回る姿を想像するだけで胸やけがして、一族の恥さらし者になってしまう。
自分は九頭竜の直系なのだから、我が子が出来損ないであってはならない――その矜持が乱青龍を奮い立てて口から鋭い牙を覗かせた。
「私を殺すと言うのか。末代まで祟ってやるがいいか?」
「祟りならそれこそお前の始祖が居た時代から我が家は受けている。だから気にするな」
何のことはないと肩を竦めて見せた良夜の度量の大きさと良夜の持つ不思議な雰囲気に一瞬乱青龍は構えを解いた。
実はそこかしこから山に住む獣や獣系の妖が集まり始めていた。
高志を縄張りとして生きている自身の元へではなく、良夜の周辺に集まっては気を引くように鳴き声を上げたり、中には良夜の足元まで行って身体を擦りつけている者も居た。
「こら、離れていろ。ここは危ない」
乱青龍から視線を逸らさず足元に居る何かに話しかけた良夜は、気を緩めることなく和平を求めた。
「こちらは戦う気は毛頭ない。雨竜の自由だけを約束してくれたらすぐ帰るが、それでも駄目なのか?」
「あの出来損ないを百鬼に迎えてなんとする?成体になるまで生き残れると思うか?生き残れたとしても頭も尾もひとつ…あのようななりで百鬼とは恥さらしもいいところよ!」
乱青龍の輪郭が揺らいだ。
その姿はみるみるぼやけながらも大きくなり――良夜は山のように大きくなったその姿を見上げて小さく笑った。
「これが九頭竜の真の姿か。かっこいいな」
『褒めている場合か。早く我を図体だけ大きいあれに突き刺せ』
「的が大きいから外す心配はないな。よし、行こう」
乱青龍が大きく吠えた。
その合図と共に良夜は地を蹴り、乱青龍に肉迫した。
百鬼夜行の次期当主がその出来損ないの息子を百鬼として迎えたいと言うのだから、それだけは阻止しなければならない。
あの出来損ないが九頭竜だと言って回る姿を想像するだけで胸やけがして、一族の恥さらし者になってしまう。
自分は九頭竜の直系なのだから、我が子が出来損ないであってはならない――その矜持が乱青龍を奮い立てて口から鋭い牙を覗かせた。
「私を殺すと言うのか。末代まで祟ってやるがいいか?」
「祟りならそれこそお前の始祖が居た時代から我が家は受けている。だから気にするな」
何のことはないと肩を竦めて見せた良夜の度量の大きさと良夜の持つ不思議な雰囲気に一瞬乱青龍は構えを解いた。
実はそこかしこから山に住む獣や獣系の妖が集まり始めていた。
高志を縄張りとして生きている自身の元へではなく、良夜の周辺に集まっては気を引くように鳴き声を上げたり、中には良夜の足元まで行って身体を擦りつけている者も居た。
「こら、離れていろ。ここは危ない」
乱青龍から視線を逸らさず足元に居る何かに話しかけた良夜は、気を緩めることなく和平を求めた。
「こちらは戦う気は毛頭ない。雨竜の自由だけを約束してくれたらすぐ帰るが、それでも駄目なのか?」
「あの出来損ないを百鬼に迎えてなんとする?成体になるまで生き残れると思うか?生き残れたとしても頭も尾もひとつ…あのようななりで百鬼とは恥さらしもいいところよ!」
乱青龍の輪郭が揺らいだ。
その姿はみるみるぼやけながらも大きくなり――良夜は山のように大きくなったその姿を見上げて小さく笑った。
「これが九頭竜の真の姿か。かっこいいな」
『褒めている場合か。早く我を図体だけ大きいあれに突き刺せ』
「的が大きいから外す心配はないな。よし、行こう」
乱青龍が大きく吠えた。
その合図と共に良夜は地を蹴り、乱青龍に肉迫した。

