泣いてないなんて、バレバレすぎる。
かと言って、素直に大馳がいなくて寂しかったなんて言えっこない。

だってそんなの、自分が自信満々に送り出したくせに、結果泣いてるなんて、アホなやつだって思われるに決まっている。


いや、アホなんだけどさ。



「へへ……ちょっと花火が、綺麗すぎて。私の感性を刺激しまくりだよ。ほんと涙腺ユルい」


ほら、こんなアホみたいな言葉しか出てこなかった。


「…………そうかよ。そりゃ良かったな」


「うん。……幼なじみちゃん、大丈夫だった?」


「あぁ。……振られたんだってさ、好きなやつに。祭りに誘われたからイケると思ったのに、いざ告ったら"友達としか見れない"って言われたらしい」


「……そ、っか」



そりゃ泣いちゃうよ。
好きな人の好きな人が自分じゃないって、思ってた数十倍、辛いことだった。


だけど、それはきっと大馳も同じだ───。



「弱ってるとこ、攻めたら良かったのに。好きなんでしょ?幼なじみちゃんのこと」


少なからず大馳も、美優ちゃんが他の人を想って泣いているのを見て、胸が苦しくなったはずだから。