毒舌年下BOY♂に愛を叫べ【仮】

「大馳、行きなよ!」

「は?」

「ほ〜らっ!早く追いかけないと、見失っちゃう!」



どれだけ、この短時間の間に醜い自分と闘っただろう。


どんどん人波に消えていく美優ちゃんを横目に、大馳の背中をトンッと押せば、大馳は驚いたように目を見開いた。


そりゃ、行かないで欲しいよ?本当は。


泣いてる幼なじみより、私の隣で花火を見て笑ってて欲しいって思ってしまう。


───だけど。


このままそばにいたって、どうせ大馳の頭の中は美優ちゃんでいっぱいなわけで……隣にいたって虚しいだけな気がしてしまうのだ。



「……行かねぇよ」


「私なら平気だよ。忘れてない?私、大馳よりお姉さんだよ?」


「そういう事じゃねぇし。つーか、全然お姉さん感ねぇだろ」


「いくら私でも花火くらい1人で見れるよ?もうすぐ17歳になる立派なお姉さんだもの」



大馳は優しいから、美優ちゃんのことを心配しながらも、私を置いてくことを躊躇っているんだろう。


だから、大馳が心置き無く美優ちゃんを追いかけられるように、私は自分の持てるありったけの強がりを今使おうと思う。