毒舌年下BOY♂に愛を叫べ【仮】

大馳の視線の先をそっと追いかけた私の目に映ったのは、

淡い水色の浴衣を着た、泣きながら歩く同い年くらいの女の子。


遠目からでも分かるくらい、泣いてることを隠そうともしないその子が、一体誰なのか……なんて、大馳の顔を見たら嫌でも分かってしまう。


大馳が『美優』と呼んだ女の子。私は出会って半年経った今でも『茜』って、苗字呼びなのに。


適わないなぁ。


「あのバカッ、何泣いてんだよ」


「っ……あの子が幼なじみちゃん?」


「そ。家が隣りなんだよ、生まれる前から」




───ズキッ


あれ、やだな。今の痛みは何?


分かっていたことなのに、大馳の口から告げられた言葉に、勝手に胸が痛んだ。


生まれる前から出会うことが決まってた、なんて……そんなのかないっこない。



「……昔から鈍臭いヤツで、すぐ泣くし、そのくせ意地っ張りで可愛くねぇし、わがまま言わせりゃ天下一」



大馳の視線はやっぱり美優ちゃんに向けられたまま。聞いてもないのにペラペラと美優ちゃんについて話してくれる大馳に、私の中のモヤモヤは募っていく。