毒舌年下BOY♂に愛を叫べ【仮】

大馳って、こんなに優しい顔で笑うんだっけ?

普段はもっとこう、人を見下したような意地悪さを含んでいるような気がしていたけれど、考えてみればそれって、私にだけだったりして。


「【デートとは日時や場所を定めて男女が会うこと】らしいから」

「……へ?」

「つまり今日、俺と茜が会ってることも、残念ながらデートにカウントされるってわけだ」

「デートって……そういう意味!?ちょっと期待したじゃん!しかも、残念ながらって酷さの極み!」


どんなに優しい顔で笑ってたって、やっぱり大馳は大馳なんだと、改めて思い知らされた私は、ここに来てやっと大馳に対して"悔しい"って気持ちが湧いてきた。


あ────!!!
こんなに好きにさせられて、ほんっと悔しい───!!!


……って、



「……大馳?」


1人悔しさを噛み締める私の隣で、大馳は少し先を見つめたままピタリと動くのをやめた。


不思議に思いながら、大馳を見上げる私の声なんて、今の大馳には全然聞こえていないらしい。



「おーい!大馳?どうかした?」


「美優……」


「え?」


小さな声で、だけどやけにハッキリ私の鼓膜を震わせた大馳の言葉に心臓がドクンッ、と嫌な音を立てる。


大馳の視線の先。

気になる。知りたい。

だけど、


───すごく怖い。