毒舌年下BOY♂に愛を叫べ【仮】

「っ、それなら私だって、先に大馳のこと見つける自信あるよ?」


やっと着いた土手は、やっぱり人でごった返していて、あちこちに恋人たちが寄り添って座っている。

歩く足を止めた大馳に、つられるようにして立ち止まれば、肩が触れる距離に大馳の体温を感じて急に恥ずかしさが込み上げてくる。


……これくらいの距離、いつもなら全然平気なのに。


「いーや、無理だな。茜、のろいし、チビだし、祭りなのに浴衣着てこねーし」

「ちょ、また悪口!?しかも最後のは全然関係ないし」


勢いよくバッと顔を上げて大馳を見れば、いつから見ていたのか……私を見下ろして優しく笑う大馳と目が合って心臓が跳ねる。


「浴衣。ちょっと期待した」

「え?」

「茜の事だから、絶対浴衣着てくると思ってた」

「ほ、本当は……すっっごい迷った、けど。私の浴衣なんて大馳は見たくないと思ってたし、それに、デートでもないのに1人で浮かれてるみたいで恥ずかしいかなって」

「いや、デートだろ」

「…………は?え、これデートなの?え?」



「ばーか」と私の頭を軽く小突いて、フワッと笑う大馳が、さっきからやけに優しいきがして調子が狂う。