冷たいキスなら許さない



「だ、だから、誤解です。誤解なんです」

さっきからずっと誤解だと言っているのに、目の前の社長のご両親はにこにこ、いや、ニヤニヤするばかりで私の話をまともに聞く気がない。

「やだ、いいのよ、恥ずかしがらなくて。二人ともいい年なんだし、むしろもともと同じ部屋にお布団準備しなくてごめんなさいね」

「いえ、そうでなくて」
聞いてくれ。

「かーさんがいきなりふすまを開けて悪かったね。本当にダメじゃないか」
「そうよね、悪かったわ。今度から気を付けるから。ごめんね、灯里ちゃん」
それ、何に対する謝罪なの。

「灯里ちゃんを捕まえたのなら早く言えばいいのにこの子ったら、ねえお父さん」
「そうだぞ。早くしないと逃げられるんじゃないかと心配してたんだからな、なあ母さん」
「いえ、全然そういう話じゃありません。聞いてください」
誰が何を捕まえて何に逃げられるというんだ。

さっきからこのかみ合わないトーク。