磯崎邸の打ち合わせは基本的にここの会議室で行われていて、頻繁に東山氏や櫂と顔を合わせることになってしまった。

もちろん、私の業務には関係ないので私が打ち合わせに参加することはない。極力打ち合わせがある時間帯にはオフィスを留守にするように心がけていた。
おかげでハウジングセンターの展示場が私の職場のようになっていて新人教育が劇的に進んだ。


「言葉遣い、接客態度はもう及第点でしょう」

「やったね!」小城さんにもお墨付きをもらって二人とハイタッチした。
「ありがとうございます」「がんばったかいがありました~」

実はここまで彼女たちが急成長したのは私の教育の成果ってだけじゃない。

「灯里、終わったか?」
のそりと展示住宅の狭い事務スペースに入ってきた大きな男。

「社長」「大和社長!」
女子二人の声が一オクターブ高くなりぱあっと顔が明るくなる。

・・・そう、このオトコが度々ここに顔を出すようになって、この新人女子二人の研修の吸収スピードがアップしたのだ。

社長も毎回イースト設計の打ち合わせに参加するわけではないのだけれど、東山氏が参加する時は極力同席している。
それが終わり長野に帰る前には必ずここに顔を出すのだ。

まあ、いいんですけどね、私は結果的に彼女たちの研修成果が出れば。その理由や過程がどうであれ。