後ろに女の子を乗せてるから、シヅキが乗っているから転ばないよういつもより慎重に自転車を漕いだ。 駅前にでてネオンの看板が連なる通りをシヅキの鼻歌を聞きながら進む。 賑やかな中でもすぐ後ろで歌っているその声ははっきりと耳に届いてくる。 だけどすれ違う人は誰も振り返らない。 シヅキの鼻歌が聞こえていない。 俺だけに聞こえる声。 ちゃんと聞こえる。 重みも感じる。 すぐ近くにいるのに。 他の人には見えていないんだと改めて感じさせられる。