テラスの柵に寄りかかって2人で星空を眺めていると、隼人がふとつぶやいた。


「…赤い糸?」


赤い糸って…。

小指に結ばれていて、運命の人と繋がってるっていう…赤い糸のことだよね?


すると隼人は、まっすぐにわたしを見つめた。


「俺は、信じるよ」


その隼人の澄んだ瞳に、思わず吸い込まれそうになる。


「だって、こうしてかりんと結ばれたんだ。こんなにだれかを好きになったの、かりんが初めてだよ」

「隼人…」


そんなの、わたしだって――。


「…わたしだって、初めて恋をしたよ。それが、隼人なの」


ついこの間までは、恋なんて知らなかった。

好きって気持ちがどんなものかさえ、よくわからなかった。


だけど、そんなわたしの小指にも…ちゃんと赤い糸が結び付けられていたんだ。