決して結ばれることのない、赤い糸

「あんなことって?」


ぶつけた腰を擦るわたしに、隼人が意地悪っぽく微笑む。

自分からしてきたくせに、とぼけたフリをしている。


「だっ…、だから…」


…そんなの、恥ずかしくて言えるわけがないっ。


痛みと恥ずかしさと隼人の意地悪とで、目が潤む。

唇をキュッと噛んで隼人の顔を見上げると、隼人は眉を下げて笑った。


「これだから、かりんはかわいすぎて困る」


そうして隼人は、わたしをそっと抱きよせた。


「わたしは、…こんなにも余裕がないのに。隼人はずるいよ…」


隼人に「好き」と言われるたびにドキドキして。

隼人にキスされて、心臓が飛び出そうなくらい驚いて。

今抱きしめられているのだって、隼人にわたしの鼓動が聴こえちゃうんじゃないかと思うくらい。


だけど、隼人はいつも余裕の表情だ。