決して結ばれることのない、赤い糸

わたしは右へ左手へと顔を背けてみるも、隼人はおもしろがってついてくる。


「…まったく。困った彼女さんだ」


隼人はそう言うと、そっとわたしの頭の後ろへ手を添えた。



――それは一瞬の出来事で。


なにが起こったのか理解できないわたしは、ただただ目をぱちくりさせるだけだった。


目の前には、伏し目がちな隼人の顔。

頬にかかる息。

触れ合う唇。


――そう。

わたしは隼人に…キスされた。


「…はっ!!は…は…、隼…人……!」


驚きのあまり、勢いよく体をそらしたわたしは、その反動で腰をテラスの柵に打ちつけてしまった。

その痛みに悶絶して、力なくテラスにしゃがみ込む。


「かりん、大丈夫…!?」


心配する隼人に、なんとか首を縦に振って合図を送る。


「急に隼人があんなことするから…、びっくりしちゃって……」