決して結ばれることのない、赤い糸

「うん、知ってるっ」


顔をくしゃっとして笑うと、隼人はわたしの頭を柔らかくなでた。


隼人の穏やかで優しい声、大きな手。

そのすべてが…大好きだ。


「『知ってる』って、…なにその反応っ」

「だって、ほんとのことだから」


隼人が自信満々に答えるものだから、わたしは思わずクスッと笑ってしまった。


「俺も、かりんのことが好きだよ」

「…うんっ」


わたしがこんなに緊張して『好き』と言っても、隼人は容易く言ってのけてしまう。


それが…なんだか悔しい。


「かりん、なんで怒ってるの?」


わたしがすねたように口を尖らせていることに、隼人が気づいた。


「べつに怒ってなんかないよ」

「そのわりには、お口が尖ってますよ?」


茶化すように、わたしの顔を覗き込む隼人。