決して結ばれることのない、赤い糸

「そうだよー…。バルコニーに人影が見えたから、こわくてこわくてっ…」

「ごめんごめん!なんか、眠れなくってさ」


話を聞くと、瞬殺で寝てしまったカズの隣で、隼人はなかなか寝付けなかったとか。


それで暇つぶしに、テラスに夜風を当たりにきたらしい。


夏の夜は日中と違って涼しくて、クーラーとは違う気持ちのいい風が吹いていた。


隼人といっしょにテラスの柵にもたれながら、空を見上げる。


「…あっ、見て!あれって、オリオン座だよね?」

「おお〜、ほんとだっ。見える見える!」


存在を主張するように強く光る星。

小さくて細かい無数の星。


隼人と見る星空は、まるで天然のプラネタリウムだ。


「いつも見る空よりも、星がたくさん見える気がする」

「そうだな。今日は月も出てないし、周りに街灯もないからよく見えるんだろうな」