決して結ばれることのない、赤い糸

それに、0時を回っているこんな時間に、だれかいるはずなんてないんだけど…。


しかし、テラスにうっすらと人影のようなものが見えた。

…ような気がする。


瞬時ににじみ出る冷や汗。

背筋が凍るとは、まさにこのこと。


よくないものを見てしまった――。


だけど、確かめに行くことなんて絶対にしたくないから、気のせいだと自分に言い聞かせる。


そして、なにも見なかったことにして、2階へ戻ろうとした――そのとき。


「…かりん……?」


突然、暗闇から名前を呼ばれた。


恐怖で体が動かなくて、わたしは必死にテラスから目を背けた。


…すると。


「こんなところで、なにしてるの?」


…わたしの知った声。


見上げると…、それは隼人だった!


「なんだ…、隼人か〜」

「えっ…なに?もしかして俺、驚かせちゃった?」