決して結ばれることのない、赤い糸

だっ…大丈夫だよね…。


わたしは心の中で自分に言い聞かせると、覚悟を決めて部屋を出た。


まずは、廊下の電気を点ける。

…次に階段。


順調に、1階まで下りてこられた。


そして、お風呂場やトイレに繋がる廊下の電気を点けて――。


「…よかったぁ」


なんとか、トイレまでやってこれた。

帰りは、今点けてきた電気を1つずつ消して行けばいいだけ。


案外、簡単だった。


そう思って、2階への階段を上ろうとしたとき――。


「……ん…?」


わたしはなにかを見つけて、足を止める。


階段手前にある開いたドアから、真っ暗なリビングを通り越した向こう…。

そこには、海に面したテラスある。


テラスに出る窓が開いているのか、リビングのカーテンが夜風になびいている。


寝る前に、みんなで戸締りを確認したはず。