決して結ばれることのない、赤い糸

試合開始のホイッスルが鳴ると、店内のボルテージはさらに上がる。

みんな、テレビに釘付けだ。


シュートはあるものの、得点には繋がらない。

そんな試合展開だった。


結局試合は動かないまま、後半を迎える。


選手交代で、ある人物がピッチに入る。

それを見て、店内がわっと盛り上がる。


「「瀧だーーー!!」」


そう。

異国の地のサッカースタジアムで、堂々とテレビに映るのは、青いユニフォームがよく似合う――隼人だった。


隼人は、カズと同じ体育大学に推薦で進み、その後プロのサッカー選手となった。

今では、日本チームを支えるエースだ。


隼人とはあの出来事以来、学校でも顔を合わせないようにして、会話もしていない。

連絡先も消してしまった。


2人でそう決めたから。


だけど、隼人の活躍する姿はこうしてテレビを通して見ていた。