決して結ばれることのない、赤い糸

隼人の言葉に迷いはなく、渇いたわたしの心に染み渡った。


「…生きる。強く強く、生きてみせる…!」


隼人と結ばれないことよりも、隼人がこの世からいなくなってしまうことのほうがわたしには耐え難いと実感したから――。


わたしは生きる、隼人といっしょに。



――それから10年後。


「広瀬チーフ、最終確認お願いします!」

「わかった。そこに置いておいて」

「広瀬チーフ〜、助けてください〜…!クライアントから無理な要求がぁ〜」

「そんなことで泣かないのっ。あとで対応するから待ってて」


わたしは天川高校を卒業後、外国語大学に進学し、通訳の会社に就職した。

今ではチームを束ねるとチーフとして、忙しくもやりがいのある日々を過ごしている。


優奈は美容系の専門学校へ進み、今はネイリストとして働いている。