決して結ばれることのない、赤い糸

優奈はわたしにピースしてみせる。


「そういえば、隼人とはもうしたの?」

「“した”って、なにを?」

「キス」


わたしは思わず持っていた荷物を落とした。

その音に反応して、優奈がポカンとした表情でわたしに目を向ける。


「…え。もしかして、まだしてないの?」


目を細め、口がゆがませる優奈の顔は、『ありえない』と言いたげだ。


「そ…!そそそそ…そんなの、してないに決まってるじゃん…!!」


明らかに動揺した震える声で、優奈に返答する。

優奈が変なことを言い出すから、落とした荷物を拾い上げる手も震えている。