決して結ばれることのない、赤い糸

予定よりも早く生まれたわたしたちは、普通の赤ちゃんよりも小さかった。

だけど、幸い2人とも元気な産声を上げた。


しかし――。


わたしが生まれた5月1日。

この日がなっちゃんと隼さんの命日となった。



なっちゃんは出血が止まらず、わたしたちを産んだ1時間後に亡くなった。

隼さんは病院に駆けつける途中で事故にあい、なっちゃんのあとを追うようにして息を引き取った。


隼さんが運ばれたのも、なっちゃんと同じ病院だった。


わたしと隼人は、生まれてたった1時間で両親を亡くした。

だけど、そのたった1時間は、わたしたち家族4人がこの世でいっしょにいることができた唯一の時間だった。


その後、わたしは広瀬家に引き取られ、隼人は遠い親戚にあたる瀧家に引き取られた。


今の隼人の両親は、不妊で子どもに恵まれなかった。