決して結ばれることのない、赤い糸

隼人を呼び止めようとするカズの腕を握った。

そして、わたしは首を横に振った。


「…理由を聞きたかっただけだから。…もう十分だよ」


別れたい理由を聞いて、もしわたしに直せるところがあればと思ったけど――。

…そうじゃなかった。


隼人には、すでにわたしよりも好きな人がいる。


そんなの…もうどうすることもできない。

隼人は、もうわたしのことなんてなんとも想っていないんだ。


そのあと、カズが心配して送ってくれた。

でも、わたしは至って普通だった。


隼人には先週に別れ話をされていたから、覚悟ができていたというか。

理由を聞いて、ようやく納得できたというか。


「カズ、送ってくれてありがとう!じゃあねっ」


だから、涙も出てこなかった。



「ただいま〜…」


家に帰ると、めずらしくお母さんがいた。