決して結ばれることのない、赤い糸

『かりんのこと、よろしく頼む』


…隼人は、どういう気持ちで優奈に言ったの?

本当に、もうわたしたちはおしまいなの…?


隼人からの連絡はない。

わたしと顔を合わせるつもりもないようだ。


――だから。


わたしは放課後、部活終わりの隼人を待ち伏せした。


吹奏楽部の練習が終わると、すぐにグラウンドへ行く。

そして、グラウンドの入口で隼人が出てくるのを待った。


緊張で、心臓がバクバクとうるさくなる。

包み込むようにして肩を丸め、その胸を制服の上から抑えた。


「カズ、次の勝負は負けないからなっ」

「ああ。何度でも付き合ってやるよ」


そんな声が聞こえて顔を上げると、ジャージに着替えた隼人がこちらに向かって歩いていた。

カズもいっしょだ。


隼人を待っていたとはいえ、いざ目の前にすると声が出なかった。