決して結ばれることのない、赤い糸

だけど、優奈が言った『隼人の彼女』という言葉が胸に刺さって傷口をえぐる。


「だから、かりんいっしょにきてくれない?あたし、7組って入ったことないんだよね」


なにも知らない優奈がわたしを誘う。

しかしわたしは、視線を落としながら首を横に振った。


「…ごめんね。2限の英語の宿題、まだ終わってなくて…。今の時間にやっておきたいんだ」

「そうなの?かりんが宿題やってないなんてめずらしいね」


本当は、昨日のうちに終わらせていたけど、適当な理由がそれくらいしか思いつかなかった。


「とりあえず、隼人のところに行ってくるね。なにか伝えることでもある?」

「あっ…、ううん…。とくにないよ」

「まぁ毎日連絡取ってたらないよねっ。じゃあ、行ってくる!」


わたしは無理に笑顔をつくって、優奈に手を振った。