決して結ばれることのない、赤い糸

月曜日。

こんなに重い足取りで学校に行くのは初めてのことだった。


隼人に会ったらどうしようという思いと、もう一度隼人に会ってちゃんと話がしたいという思いとが入り交じる。


「おはよー、かりん」

「あ…、優奈。おはよう」


教室に入るとすぐに、自分の席に座っていた優奈がわたしに気づく。


「ねぇ、かりん。今から隼人のところに行かない?」

「…えっ!?どうして…?」

「それがさー、1限の数学の教科書忘れちゃって…。隼人から借りてもいいかな?」

「いいと思うけど…、どうしてわたしに聞くの…?」

「だって、隼人の彼女でしょ?一応、聞いておこうと思って」


優奈だって隼人とは中学からの仲だし、教科書の貸し借りくらいするだろう。

だから、なにもわたしに許可を取る必要なんてないのに、優奈なりに気を遣ってくれていた。