決して結ばれることのない、赤い糸

一瞬、時が止まったかのようになにも聞こえなかった。


今…隼人、なんて言った……?


「なんでもするだろ?だったら、今すぐ別れて」


わたしは…、夢でも見ているのだろうか。


だって、隼人がそんなことを言うはずがない。

ついこの間まで、変わらず優しかった隼人が…。


わたしの目の前に立っているのは、隼人の仮面をつけただれか。

隼人のフリをして、わたしを騙そうとしているんだ。


きっとそうに違いない。

そう思いたかったけど――。


そんなはず…ないよね。


「そういうことだから。じゃっ」


呆然と立ち尽くすわたしには目もくれず屋上から出ると、隼人はゆっくりとドアを閉めた。


…ガチャン


ドアの閉まる音が、重くわたしの心にのしかかる。



「かりん、おかえりー!」