決して結ばれることのない、赤い糸

「それは…かりんの気のせいだろ?」


冷たく言い放つ隼人。


…気のせいなわけないよ。

今までの隼人は、そんな冷めた目でわたしを見たりなんかしないから。


「もういいかな?このあと、顧問の先生に呼び出されてるんだけど」


隼人はわたしに背中を向ける。

それはまるで、越えることのできない大きな壁のように感じた。


「もし、わたしがなにかしたのなら…言って?わたしにできることなら、なんでもするから…!」


わたしをその場に残して屋上から出ていこうとする隼人の背中に、わたしは言葉をぶつけた。

すると、隼人が足を止めた。


「なんでも…する?」

「うん…!わたしに対して嫌なことがあるなら――」

「じゃあ、別れて」


わたしと隼人との間を、思わず身震いするような季節外れの冷たい風が吹いた。