決して結ばれることのない、赤い糸

「パスポートの申請って、いろいろと必要な書類があるんだよね?戸籍謄本?…とか」

「そうね。それまでには揃えるから大丈夫よ」

「でも仕事で忙しいなら、わたしが取りに行くよ?」

「かりんは心配しなくても大丈夫!それくらい、お母さんだってできるからっ」


最近バタバタしているのはわかっていたから、わたしもなにか手伝えないかと思って聞いてみたけど、その必要はないとのことだった。



数日後。


〈隼人。明日、パスポートの申請に行くんだよね?〉

〈ああ〉


わたしは、隼人と寝る前に電話をしていた。


〈わたし、昨日顔写真撮ったよ。なんか変な顔になっちゃった…〉

〈仕方ないよな。笑ったらダメなんだから〉

〈隼人は?いい感じに撮れた?〉

〈俺だって変な顔してるよ〜〉

〈ほんと〜?じゃあ、パスポートできたら見せてよ!〉