決して結ばれることのない、赤い糸

その日の部活は、そのことしか考えられなかった。


何事もなかったかのように話す?

そもそもそれに対して、お母さんもどのような反応を見せるのだろう。


様々なシチュエーションを想像してみるけど、どれもうまくいく気がしなかった。


――だから、驚いた。


「かりん。この日、予定ある?パスポートの申請に行こうと思うんだけど」


家に帰ると、まさかお母さんからそのことについて話しかけてきてくれた。


「う…ううん!予定ないから大丈夫…!」

「それならよかった。今、仕事が忙しいから、すぐに行けなくてごめんね」

「そんなことないよ!ありがとう」


久しぶりに、まともに会話をした。


お母さんもパスポートについてはずっと気にかけてくれたみたいで、1ヶ月後の土曜日にいっしょに申請しに行くことになった。