決して結ばれることのない、赤い糸

会話の内容からすると、おそらくこの海水浴場で海の家をしているという鷹さんのようだ。



隼人が電話を切って、数分後。


「お〜いっ!」


そう呼ぶ声がかすかに聞こえて目を向けると、こちらに向かって手を振る人が――。


「鷹さん!」


隼人も大きく手を振り返すと走っていった。


「カズ。あの人が鷹さん?」

「そうそう」


無邪気に駆けていく隼人は、まるで小さな子どものよう。

そして、その隼人を迎え入れる鷹さんのまなざしは、まるでお父さんのように見えた。


「隼人。お前、また背がデカくなったな〜!」

「そうかな?でも、鷹さんに比べたらまだまだだよ」


2人は話をしながら、わたしたちのところまでやってきた。


「よう、カズ!久しぶり」

「お久しぶりっす」


軽く手を挙げる鷹さんに、カズは会釈した。