決して結ばれることのない、赤い糸

「ごめんね〜。お礼っていうのがこんなもので」

「…ううん、そんなことないよ!ありがとう」


わたしたちは窓際のソファ席に、向かい合わせになるようにして座った。

いきなり会話に困ったけど、そんな心配は無用だった。


「本当に、この前はリョウタがお世話になりました!」


人見知りのわたしのことなんておかまいなしに、クミちゃんが話しだした。

だから、わたしも自然と話しやすくなる。


「そういえば、リョウタくん。びしょ濡れだったけど風邪引かなかった?」

「大丈夫、大丈夫!そのかわり、傘壊したからお母さんにものすごく怒られてたけどっ」


そんなリョウタくんの姿を思い浮かべたら、思わずクスッと笑ってしまった。

わたしは、カフェオレをひと口飲む。


まさか、隼人の彼女とこうして2人で話す日がくるなんて思ってもみなかった。