隼人が求めているのなら…。

すべての真実を話したい。


それでまた隼人と結ばれようなんて思っていない。

隼人には、クミちゃんがいるから。


でも、わたしは1日でも隼人を忘れたことなんてなかった。

ただそれを伝えたい。


「わたしね――」

キーンコーンカーンコーン!


わたしの言葉を遮るように、チャイムが鳴った。


「…あっ、予鈴だ。広瀬さん、次の授業なに?」

「えっと…、美術だけど」

「それなら、美術室に移動だよね?早く戻ったほうがいいよね」


わたしと隼人は、屋上からの階段を下りたところで別れた。


――言えなかった。


チャイムが邪魔をしなければ、おそらくわたしは話していた。


でも1人になって冷静になって考えてみると、あそこで予鈴が鳴ってよかったのかもしれない。