「ううん。傘が折れててずぶ濡れで歩いていたのを見かけたから」

「それで送ってくれたの!?…そんなわざわざよかったのに〜。でもありがとうっ」


クミちゃんはにこっと微笑んだ。


「そうだ、かりんちゃん。なにかお礼させて!」

「い…いいよ!そんなつもりで送ったわけじゃないから」

「でも、そのせいでかりんちゃんも濡れちゃったでしょ…!?今日はもう帰らないとだろうし、また今度お礼させてもらうねっ」


ずぶ濡れの男の子を見つけて送り届けてみたら、思わぬ展開に発展した。



数日後。


クミちゃんはお礼をしたいと言ってくれたけど、一体どういうものかが気になっていた。

そもそもわたしはクミちゃんの連絡先を知らない。


…どうするつもりなんだろう。


そう思っていたら――。


「広瀬さん!」