「でも、ボロボロだよ?」

「友達と戦ってたらこうなってた」


どうやら、放課後に友達と傘を剣に見立てて、振り回して遊んでいたらしい。

そのせいで、こうなってしまったと。


「家、この近く?よかったら、お家まで送っていくよ」

「ほんとっ?サンキュー、お姉ちゃん!」


男の子を自分の傘に入れて、わたしは隣を歩いた。


名前は、リョウタくん。

この近くの学校に通う、小学2年生。


お父さんとお母さんとお姉さんといっしょに住んでいて、犬を飼いたいらしい。

でも、サッカーも習いたいとかで、お母さんにはサッカーを習ったら世話ができなくなるから、どっちかねと言われているから悩んでいると。


リョウタくんは人懐っこくて、家に送り届けるまでの道でいろいろな話をしてくれた。


リョウタくんの案内で、10分ほど歩くと住宅街に入った。