決して結ばれることのない、赤い糸

「付き合わせて悪かったな、かりん。本当は、次くるバスに乗りたくなかっただけ」

「…どうして?」


カズの顔を覗き込むと、なぜか下唇を噛みしめていた。


「…だって。隼人と彼女がいっしょに乗るバスなんて、かりん…いやだろ?」


その言葉に、わたしの心臓がドクンとなる。

…図星だからだ。


「わ…わたしは、べつにそんなこと――」

「強がんなよ」


わたしの心を見透かしたようなカズの瞳。

思わず、目の奥が熱くなる。


わたしは、カズに救われた。

本当は、…あのまま隼人たちと同じバスに乗るのはつらかったから。


――2年という長い時間。


それは、すぐに埋められるほど簡単なものではなく。

わたしと隼人の、一切の関係を変えてしまっていた。


「…カズはすごいね。わたしの心が読めちゃうなんて」