決して結ばれることのない、赤い糸

「その隣のコは?もしかして、カズくんの彼女さん?」

「…違ぇよっ!」


いつもは物静かなカズが、急に大きな声を出した。

それに驚いて、わたしたち3人は目を丸くする。


「…あっ、わりぃ。ついっ…」


自分でも驚いたのか、カズは少し顔を赤くしていた。


「わ…わたしは、広瀬かりんといいます。試合の応援にきた、ただの…吹奏楽部員です」

「かりんちゃんね!私はクミ。よろしくねっ」


クミちゃんは、無邪気にわたしにあいさつをした。

悪気のない、屈託のない笑顔。


ただの吹奏楽部員のわたしには、その笑顔がまぶしすぎた。


クミちゃんに微笑みかける隼人の顔を見ていると…。

隣にいるのはわたしじゃないと実感する。


そんな仲のいい2人の姿を直視できなくて――。

わたしはうつむいた。