決して結ばれることのない、赤い糸

…間接キス。


わたしはとっさに視線を逸らした。


ペットボトルのキャップを閉める彼女の肩を軽く叩く隼人。


「クミ。こいつが、よく話してるカズ」

「あ〜!例の、サッカーがめちゃくちゃ上手な?」

「そうそう」

「おい、隼人。試合に出たお前にそんなこと言われても、ただの皮肉にしか聞こえねぇんだけどっ」


ふざけて、隼人の脇腹を肘で小突くカズ。


「べつにそんなつもりで言ったんじゃないんだけどな。だって、何気に俺たち息ピッタリじゃん?カズといっしょにさっきの試合に出させてくれたら、もっと早くにゴール決めてたと思うんだけどなぁ」


息がピッタリなのは、当然だ。

2人は幼い頃から同じサッカーチームに所属して、切磋琢磨してきた仲なんだから。


ふと、隼人の彼女がキョトンとした顔でわたしに目を向ける。