決して結ばれることのない、赤い糸

カズはベンチ入りで、残念ながら出番はなかった。

でも、今回の隼人の活躍はきっと監督たちの目に留まったに違いない。


大きなケガを乗り越えて、高校でも変わらずサッカーを続ける隼人。


ううん。

中学のときよりも、一段とスピードもシュートの威力も上がっていた。



その日の帰り。

吹奏楽部は現地解散で、わたしは試合会場となったグラウンドの最寄りのバス停で、帰りのバスを待っていた。


――すると。


「かりん!」


名前を呼ばれて振り返ると、ジャージ姿のカズがいた。


「カズ!サッカー部ももう解散したの?」

「ああ、今さっき」


カズは、わたしの後ろに並んだ。


「…そうだ!優勝おめでとう!」

「ありがとう。つっても、オレはなにもしてないけどな」


苦笑いを浮かべるカズ。