決して結ばれることのない、赤い糸

その隼人に、瞬時にパスが回された。


胸でボールを受け取ると、そのままドリブルで相手選手を次々とかわし…。

ゴールキーパーと１対１になった隼人は、右脚で思いきりゴール目掛けてシュートした。


ﾋﾟﾋﾟ------ｯ!!!!


鳴り響くホイッスル。

呆気に取られる、選手と観客。


隼人が放ったボールは――。

相手ゴールの中にあった。


「「キャーッ!!!!」」


観客席から、悲鳴に近いような甲高い歓声が上がる。


後半、ラスト２分。

隼人が決勝点を挙げた瞬間だった。


――中学のときの大会の記憶が蘇る。


隼人がシュートを放つときの美しいフォーム。

そして、相手ゴールを力強く揺らしたボールの威力に、わたしも鳥肌が立ってしまった。


先輩たちから頭をわしゃわしゃとなでられる隼人が、駆け足で陣地に戻ってくる。