今までと変わらない呼び名に、カズもうれしそうだった。


そして、隼人は実家から通っているのではなく、学校の寮に住んでいるということがわかった。


天川高校の運動部の生徒は、実家から学校までの距離が、公共交通機関を使っても片道2時間以上かかる場合は寮に入ることができる。


それに、両親は仕事が忙しく、あまり家にもいないんだそう。

休みを取っていたはずの入学式の日も、仕事でトラブルがあったとかで、お父さんもお母さんも出席できなかったらしい。


引っ越した先の隼人の新しい家がどこかはわからないけど、そういったこともあって隼人は今は寮暮らしをしている。


わたしは前に、お母さんに隼人が同じ学校だったという話をした。

そして、なっちゃんにも。


「よかったね!また会えて」と喜んでくれたけど、お母さんも隼人が記憶を失くしていることは知っている。