なぜなら、わたしは改めて確信したから。


隼人に彼女がいたって、わたしのことを覚えていなくたって――。

それでもわたしは、隼人のことが好きなんだと。


この想い…、そう簡単に忘れられるはずがない。

だから、…好きのままでいさせて。



それから、わたしはサッカー部の応援曲の練習に没頭した。


その(かん)、隼人とはたまに廊下ですれ違ったりすることも。

だけど、交わすのは「やぁ」や「こんにちは」程度のあいさつ。


立ち止まって話し込むような仲ではない。


「サッカー部は楽しい?」

「授業はついていけそう?」


なんて、話したいことはたくさんあるのに、今はその言葉たちをすべて飲み込んでしまう。


そのかわり、隼人の話はカズが聞かせてくれていた。

カズは、サッカー部で隼人と仲よくなれたらしく、以前のように『カズ』と呼ばれているんだそう。