決して結ばれることのない、赤い糸

友達といっしょに帰る素振りもない。


「で…でも、今日は隼人の姿を見ただけで、まだ仲よくはなってないよね…?わたしだって、昨日少し話しただけで――」

「大丈夫、大丈夫!今から仲よくなれば問題ないって!」


どこからその自信がわいてくるのか…。


社交的な優奈は、臆することなく隼人に声をかけようと後ろから歩み寄る。


わたしとカズは、顔を見合わせて苦笑い。


でも、もし隼人もいっしょにきてくれるなら――。

仲よくなれるきっかけになるかもしれない。


わたしは、優奈の動向を後ろから見守る。


隼人の肩を叩こうと、優奈がそっと手を伸ばした。

――そのとき。


「…あっ!隼人!」


突然、だれかが隼人を呼ぶ声がした。

…だけど、周りに友達らしき人物はいない。


すると、その声に反応して校門に向かって走っていく隼人。