決して結ばれることのない、赤い糸

「…そうだ!下校時間が…!」

「あと3分だね」


焦るわたしとは反対に、スマホの画面に表示された時計に目をやる隼人はいたって冷静。


「下校時間までに出ないと、先生に怒られるな。走れる?」

「は…はい!」


わたしは、隼人のあとに続いて昇降口まで走った。



下校時間まで、残り1分。


ようやく昇降口までやってきたものの、わたしの息づかいは荒かった。

ここまで走ってきたせいで、バテてしまったていた。


よろよろと、上靴からローファーに履き替える。


「…大丈夫?」


息を切らすわたしを振り返る隼人。


「ご…ごめんなさい。ちょっともう走れなくて…。先に行ってください」


文化系だから、体力には自信がない。

短距離も苦手だけど、スタミナもないから長距離も苦手。


しかし、下校時間は刻一刻と迫る。