決して結ばれることのない、赤い糸

「…あ、はい。ゆっくりしてたら、こんな時間に…」

「マイペースなのはいいが、下校時間までには出ろよ?」

「はい!失礼します」


下校時間まで、あと10分。

歩いても十分に間に合う。


そう思っていたのだけれど――。

わたしはここで、あることに気がついた。


…なんと、スマホがなかったのだ!


おそらく、教室に置き忘れてしまったに違いない。


廊下は走らないようにと言われているけど、わたしは急いで教室へと向かった。


思ったとおり、スマホは机の中にあった。


下校時間のこともあるから、スマホをブレザーのポケットに入れると、教室を飛び出した。


急がないと…!

と思っていた、そのとき――!


「…わっ!」

「きゃっ…!」


廊下の角から人が現れて、わたしはその人にぶつかってしまった。