部署の違う俊貴と退社する時に鉢合わせしないように、明日でも間に合う仕事を無理やりこなして、腕時計をみれば22時を過ぎていた。

残業が多い俊貴でもこの時間はもう帰宅しているだろう。

凝り固まった肩を揉みながら机周りを片付けて、残っている先輩の小坂(こさか)主任に挨拶をし、廊下に出る。

仕事をしている階も違うのに、俊貴とは帰るときによく遭遇した。

そして、会えば会ったで毎回ではないものの会社の最寄の駅やお互いの住んでいる駅前で飲んで帰ることが多かった。

2人きりの時もあれば、同期や先輩などと大人数の時もあった。