真剣な顔で俺に言うカイトを放置して、
狭いロッカーに紐で掛けられたノートを手にとり、
今日のシフト表を確認しながら話を元に戻す。


「同じ学校で幼なじみなんだからカイトの方が知ってるだろ」


俺がノートから目をそらさずに、言うとカイトはチッと舌打ちをした。


「アイツ、俺の言うことなんか聞きやしねえよ」


「それはカイトにだけじゃないだろ、
センはああいう奴だし。それに、俺よりセンの色んなこと知ってんのはカイトだろ」

「でもさ、アイツ、チカには懐いてるからさ」

ノートを閉じてカイトを見て答えた。


「まぁな」


センがなぜ俺に懐くのかはさておき、
そろそろカイトに種明かしをしようか。


「オリオンの奴らが見つけるよりも早く、
シンデレラが誰か突き止めるとか、
昨日言ってたからこの辺うろうろしてんじゃない?」

掛けてあるエプロンを取りながらカイトに種明かしをすると、

「なんだよ、チカ知ってんじゃねーか」
「痛っ」

カイトはエプロンの紐を結ぶ俺の背中に、
快晴の笑顔でグーパンチをかました。