まるで夜のような暗い夕方。 俺はたった1人きりで、 傘も持たずに、雨に降られるまま歩いていた。 唯一の恩人の裏切りを知り、 彼を信じきってしまった、自分への恥辱と怒りと、 どうしようもない空腹の惨めさを抱えて、 絶望の淵にいたあの時。 俺も、この犬と同じ目をしたのかもしれない。