足の動くままに、ダンボールに近づき、 雨が吹き込まない所まで引き寄せると、 緩く閉じていた蓋を開いた。 するとそこには薄茶色の子犬が一匹。 震えていた。 黒々とした目が救世主を見るように、 俺の顔を無防備に見つめている。 やめろ。 その目はやめろ、 俺にそんな目を向けるな。 俺なんかじゃお前を救えねぇよ。 あの日も確か、 今振ってるような雨が降っていた。