自分から聞いてきたくせに、私の返事も待たずに隣に座りお弁当を食べ始めた。
嫌な予感しかしない。
過去の記憶が蘇り、自然と身構える。
「この場所気持ちいいですね」
「はぁ」
敬語で話してくるあたり、1年生なんだろう。
けど、この子誰?
「マジで人間関係って面倒ですよね、誰と誰が仲良いとか、友達の彼氏だからとか超面倒!」
急にそんなこと、初対面の私に普通言うかな…
でも、私もそういうの面倒だから1人でいるんだけど。
「確かに、そういうの面倒だよね」
相槌のように薄く返事をした。
「私が何したっての!ほんっとムカつくー」
勝手に1人で喋って足をジタバタさせ始めた。
なんか変な子に絡まれたよ。
さっき、美人だからって見とれて損した。
私は彼女を無視して黙々とお弁当を食べてると、
「あっ!」
突然私のお弁当を指差して大声で叫んだ。
「え…」
今度は何?!
「先輩の卵焼き美味しそう!」
そう言って私の目をぐっと見つめる。
「ねぇ先輩?」
首を横に傾けて正面から顔を覗き込むように見つめてきて。綺麗なグレーがかった瞳で見つめられた。
吸い込まれそう。
彼女の瞳から目が離せなくなる。
「その卵焼き、貰ってもいいですか?」
何も考えずに頷いてしまった。
あれ?なんで私頷いてんの?
「ラッキー!」
そう言ってヒョイっと私のお弁当から
今朝私が焼いた卵焼きをお箸で摘んで二口で食べた。
「あ!甘いタイプなのね、私は砂糖入ってない方が好きだなー」
青い空に話しかけるようにまっすぐ前を見て
ストレートにそう言ってしまうのは、
私が舐められてるからか、それとも彼女が嘘をつかない人だからなのかは分からない。
でも、理由は説明できないけれど嫌じゃない。
「一つ聞いてみたかったんですけど、良いですか?」
「何を?」